• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


「ふぅ…なんとなく形は出来たな…。
明日の午後には刺繍に入れそうだけど…やっぱり糸足りないよね…」

愛は、銀色の刺繍糸を全て並べるが、
当初金色のつもりで揃えたので、途中で足りなくなるのは目に見えていた。

妥協はしたくない。

その気持ちが強い。もしかしたら、これが最初で最後の贈り物になるかもしれないから。

秀吉には、マーガレットの刺繍を入れようと決めていた。
花言葉は〈誠実・忠誠〉

どんな時も真っ直ぐで、信念を貫き、信長への忠誠を誓う秀吉にはぴったりだと思った。
白と黄色では可愛らしくなりすぎるが、金と銀で刺繍をすれば、流線状の生地に、華やかに映えるだろう。

「明日買いに行ってもいいけど…今の方がキリがいいかな。
うん。思い立った今行こう!まだ陽もあるしね」

傾き出した陽の光を眩しげに見上げると、
愛はウリの紐をそっとはずす。

「ウリ、予定変更!ちょっとお散歩に行こうか。
って言っても、この時間からだから、買い物したらすぐ帰らなきゃだけど…」

ウリは、愛に抱きかかえられると、嬉しそうにしがみつく。
そして、いつものように肩までよじ登り、

〈準備万端!〉とでも言いたげに、〈キキっ〉と鳴いた。

(女中さんに声かけて行こう)

もしも、三成や秀吉が先に帰った時に心配しないようにと、女中の姿を探す。

廊下を曲がったところで会いたかった人物をみつけ、
小走りで駆け寄ると声をかけた。

「あの…」

愛の声にすぐに女中は反応し、振り返る。

『あら、愛様!ウリもご一緒でしたか』

柔らかい微笑みをくれる。

『何かございましたか?』

「あの、着物に施す刺繍の糸が足らなそうなので買いに行ってきます。
陽のあるうちに、すぐに帰るのですが、秀吉さんたちが心配すると困るので、言付けお願いします」

愛の言葉に一瞬女中は悩んだ。
三成から、愛を一人で出歩かせないようにと言われていたからだ。

それでも、愛が一生懸命着物を縫っていることを知っている女中は、
無下に駄目だという事もできなかった。

『本当は、一人で城下に出ないようにと言われているのですが、
無いと困りますものね。必ず夜になる前にお戻り下さいね』

そう言うと、にっこりと笑った。

「ありがとうございます」
/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp