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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


夕餉後の中庭は、まるで子供が遊んでいるかのような声が聞こえる。
通り過ぎる秀吉の家臣や、仕事中の女中までもが足を止め、
仲良く楽しそうに線香花火をしている、三成と愛に視線を向けては、

『楽しそうですね』
『それは何ですか?』

など、思い思いに声をかける。
夏の匂いを少しずつ感じさせる風に、花火の煙の香りが心地よく広がっていた。

秀吉は、中庭の障子を全て開け放ち、二人の様子を眺めながら煙管を燻らせる。
幼い兄弟のようにも見えるが、近くで顔を見合わせ笑い合う姿は、
仲睦まじくも見え、ずっと抱き続けている複雑な感情が見え隠れする。

『秀吉様もご一緒にいかがですか?』

二人を眺めていると、三成と目が合い、
屈託無く自分を呼んでいる。

「秀吉さんも一緒にやろうよ!とっても綺麗だよ!」

愛も三成と同様に無邪気に秀吉を誘った。

(俺の考え過ぎなのかもな…)

秀吉はゆっくりと立ち上がると、中庭に面した廊下まで出て腰を下ろした。

「三人で勝負しようよ!」

愛が線香花火を一本ずつ三成と秀吉に渡す。

『いくら秀吉様でも、負けられません!』

三成が真剣な顔で線香花火を受け取っている。

「そんなに気合入れても、殆ど運だろ?」

秀吉が笑いながら受け取ると、二人は真剣に秀吉を見つめ、

「そんなことないよ!」『そんなことありません!』

と、同時に言った。

秀吉は二人の勢いに面食らいながらも、

「わかったから、そんなにムキになるな」

と、肩をすくませる。

わぁわぁと騒いでいるのに、線香花火に火を付けてからは暫しの沈黙がおとずれ、
一番最初に三成の火玉が落ち、次に愛の火玉も落ちた。

『あっ』「あーあ…」

落胆するものの、最後まで残る秀吉の花火を見る二人の瞳は、
キラキラと輝いて、そんな二人を眺める秀吉も、
知らず知らずのうちに心が穏やかになる。

「俺の勝ちだな」

秀吉は口元を綻ばせて二人を交互に見た。

「うん。じゃあ明日から作るのは秀吉さんの晴れ着にしようっと。
今度こそ、絶対に見ちゃダメだからね?」

愛が拗ねたように秀吉と三成を見る。

『最初に作ったのはどなたのですか?』

三成が聞くと、

「光秀さんの!」

と、愛が楽しそうに言ったのを、
二人は同時に驚いたのだった。
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