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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


御殿の門の前では、三成の想通り、
行ったり来たりを繰り返している秀吉の姿があった。

『お、おい、お前たち…大分時間がかかったな。何もなかったか?』

愛は、三成の顔をチラッと見ると、

「ごめんなさい。私が選ぶのに時間がかかってしまって…」
と、秀吉に説明をする。

三成も、先ほどの事は無かったように、

『何も変わったことはありません。この通り、反物も揃いました』
と、包みを持ち上げて見せる。

『そうか。良かったな愛。さぁ、夕餉が出来てる。
早く入って、みんなで食うぞ』

秀吉はそう言うと、愛の頭を撫でながら門の中へと促した。


御殿に帰る途中の道で、三成は、

『秀吉様に心配をかけるので、詳しい事がわかるまでは、
先ほどの事はまだ言わないで下さいますか?』

と、愛に話していた。

愛も、後をつけていたのは佐助だったのではと気にしていたので、
三成の提案を黙って了承したのだった。

(佐助くん…だったのなら、何事も起こらなくて良かったけど…)

一度、部屋に戻りたいと秀吉に伝え、愛は自室に入る。
開くはずのない天井を見上げていると、少しだけ泣きたい気分になった。

(佐助くん…すぐには、逢えないのかな…)

寂しさに押し潰されそうになって、文机の上の色鉛筆を手に取った。
安土に来てすぐ、心細かった自分のためにと作ってくれたのであろう色鉛筆には、
佐助の表には出さない優しさが沢山詰まっている。

大好きなオレンジ色と水色は、三本ずつ。
握りしめると、涙が溢れて来てしまう。

(だめだめ。今から二人と食事なんだから…。また顔に出ちゃう…)

秀吉が用意してくれた鏡に顔を映し、目が赤くないか確認する。

「うん。きっと大丈夫。私がしっかりしないと、佐助くんに迷惑がかかる…」
言い聞かせるように小さな声で呟く。


『愛様、秀吉様と三成様がお待ちですよ』
襖の外から女中の声がかかり、そっと襖が開いた。

振り返ると、一瞬目が合った時に、少しだけ驚いた顔をされた気がするが、
すぐにいつもの優しい笑顔で、

『今日はお疲れ様でした。さぁ、冷めないうちにどうぞ』
と、愛を促した。

「はい。参ります」

愛も笑顔で言うと、女中の後をついて秀吉の部屋へと向かった。
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