第11章 忍びの庭 前編(佐助)
秀吉の御殿へ着くと、愛付きの女中を紹介された。
『何か要り用な物がございましたら、私にお申し付け下さいね。
暫くの間、どうぞ宜しくお願い致します』
人の良さそうな笑顔で、女中が愛に挨拶をする。
「ありがとうございます。ご迷惑おかけしないように気をつけますね」
愛も、笑顔で挨拶を交わす。
『こいつは、時に突拍子も無い行動をする事もあるから、
良く目を光らせておいてくれよ?』
秀吉が、笑いながら愛の頭をポンポンと掌で叩く。
「もぉ。そんなことしないよ、秀吉さん!」
頬っぺたを膨らませる愛に、女中がクスクスと笑いをこぼす。
『お二人とも、まるでご兄弟のようですね。
畏まりました。三成様くらい、目を光らせておきますので』
と、女中が頭を下げた。
「三成くんよりは…マシだと思いますけど…。
宜しくお願いします!」
(女中さんたちも良い人そうだし、頑張ろう!)
『それじゃ、部屋は好きなように使っていいからな。
因みに、作業の部屋は俺の部屋の隣だ。自分の部屋の隣にすると、
お前はいつまでも仕事をしてそうだからな』
「う…。なんか、見透かされてる…」
『なんか言ったか?』
「いえ、何でもありません…」
愛は、これは相当な世話焼きがあるだろうな…と覚悟を決めた。
『荷物はひとまずここに置いて、お前専用の針小部屋みにいくか?』
秀吉が訊けば、
「うん!」
と元気よく愛答えた。
『では、私は昼餉の準備を致します。皆さん一緒に召し上がりますか?』
女中が秀吉を見る。
『あぁ。愛がいる間は、基本三成と三人分用意してくれ』
『畏まりました』
そう言うと、女中は愛の部屋を去って行った。
「秀吉さんも忙しいんだから、私と三成くんの世話ばっかり焼いてちゃ疲れちゃうよ?」
『いいんだ。お前がそんな事気にするな。
それに、お前が笑ってる顔を見られると、疲れも吹き飛ぶんだよ。さ、いくぞ』
(秀吉さんの笑顔も相当癒されるけどね…)
そんな事思いながら、秀吉の後をついて行く。