第11章 忍びの庭 前編(佐助)
次の日、朝から広間に全員が集合する。
(私まで軍議に参加なんて…やっぱり佐助くんの事、何か…)
愛の心配をよそに、淡々と進められていく各武将の報告。
そして、最後に三成からの番になる。
(もし、気づかれているとしたら、三成くんだよね…最後まで気が抜けないな)
しかし、三成からも直近の城下の報告や、
斥候からの報告、動きに何も無い事が告げられる。
(あれ?何にも無いの?)
愛は普通に終わってしまった報告に、一気に気が抜けてしまう。
『おい、愛。貴様、先程から何を一人で百面相しておる』
信長が、面白そうな物を見るような目つきで愛に話しかける。
「え?!いや…あの…私まで呼ばれたので、何かあったのかと思って…
その…ちょっと緊張していただけです…」
また全部顔に出ていた事を知らされ、恥ずかしくて俯いてしまう。
『もうほんと。隣に座ってる身にもなってよ。
あんたのせいで、話が頭に入らない。少しは静かにしてて』
家康が、大げさなため息を漏らす。
「ほぉ?家康は愛に見惚れて、俺たちの話を聞いていなかったそうだ」
光秀がここぞとばかりに揶揄い始めるが、
『どうやったらそうなるんです。さっさと先に進んだらどうです?
終わりなら、行きますよ』
家康は調子を崩さずに不機嫌そうに話した。
『まぁよい。愛を呼んだのは、久しぶりにその呆けた顔を
俺が見たかったのと…それと、三成。」
信長は続きを三成に促す。
「はい。愛様、もうすぐ城で大きな宴を行う事になりました。
年に一度、家臣も女中も針子も、城に関わる全てのもが参加できる宴です」
(へぇ〜そんなのあるんだ)
三成の話を、他人事のように聞いていた愛は次の言葉に耳を疑う。
「そこで、信長様はじめ、わたくし達の晴れ着を愛様に新調して頂きたいのです」
「えっ?!」
愛は、とんでもない話に素っ頓狂な声を出す。
「色々なところから、大名や使いのものが顔を出す宴…最早祭りと言ってもいいくらいなので、
愛様に、華やかな晴れ着を是非作って頂きたいと御館様が申されました」
『おまえの腕前は相当なものらしいと聞いている。期待しているぞ』
信長が楽しそうに愛を見る。