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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


「私は…何も出来ないけれど…」

三成は、ふっと息を漏らして微笑むと、
俯く愛の肩にそっと手を置いた。

『愛様は、お優しいのですね。
愛様を悲しませることがないよう、
私も織田軍の参謀として最善の策を講じますから。それに…』

一呼吸置いて三成は続ける。

『愛様は、織田軍には無くてはならないお人なんですよ?
信長様だけでなく、秀吉様も、光秀様も、家康様、政宗様、
もちろん私も。ですから、愛様に早く会えるように、
きっとみんな元気に帰還致します。誰一人かけることなく』

力強い三成の言葉に、俯いていた顔をあげれば、
真っ直ぐに愛を見据える三成と目があった。

その瞳は優しいながらも力強く、何処まで澄んで吸い込まれそうだ。

『愛様がいて下さる限り、織田軍は負けませんし、
誰も傷つきません。私が保証します』

「私が…いる限り…」

『えぇ。愛様は、信長様だけでなく、
織田軍に勝利を呼び込んで下さる姫ですから。
愛様の存在が、私たちを強くしてくれるのです』

「三成くん…」

『だから、何も出来ないなんて、仰らないで下さいね』
そう言うと、今日一番のエンジェルスマイルで笑いかけた。

「うん。ありがとう。
でも、もし私に出来ることがあれば、何でも言ってね?」
(何でだろう…嬉しいのに…胸が痛い…)

『はい!ありがとうございます』
『おい、入るぞー』

三成の言葉に被るように、外から声がして、
間髪入れずにシャッと勢いよく襖が開く。

「政宗!」

『なんだ、三成来てたのか。また越されたな』
政宗は、少しも残念そうじゃない声で、残念そうに肩をすくませる。

「またって?」
愛がキョトンとして首を傾げると、

『お前が落ち込んでると、三成がすぐに元気にするって
秀吉が嘆いてたから、今日は俺が元気付けようと思ったんだがな』

と、ニヤリと口の端をあげながら笑う。

「政宗にも、気づかれてたんだ…」
愛が恥ずかしそうに言う。

『お前、あんなだだ漏れの顔で、誰にも気づかれないと思ってるのか?』
呆れたような声で政宗は言う。



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