• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


佐助は目線をそらし、少し考えるようなそぶりを見せたが、
直ぐに愛に真剣な眼差しを向けた。

『愛さん、今日は大切な話があって来たんだ』

「どうしたの?改まって…」

『これから言うことは、多分愛さんを驚かせると思うけど、
大きな声を出さないで聞いてほしい。いい?』

これまでと違う佐助の低めの声に、
愛は緊張した表情頷く。

『まず…前に少し話した俺の雇い主だけど…
俺の上司は、上杉謙信なんだ』

愛は驚きのあまり、
声が出そうなのを必死に自分の両手を口にあてがった。

『タイムスリップした先で上杉謙信を助けた。
それ以来、謙信様の元で忍びをしている』

「じゃぁ、あの夜本能寺で会ったのは…」

『そう。上杉謙信、それと…』

「武田信玄…?」

今度は佐助が驚いた表情を見せる。

『何故それを…』

「私、何故かわからないけど、軍議に参加させられてて、
少し前に光秀さんが、越後の龍と甲斐の虎が生きてて、
しかも同盟を組んで信長様を狙ってるって…」

佐助は納得したように頷き続ける。

『そうか。じゃあ、その戦が始まる事は…』

「今日の軍議で…そろそろ動き出しそうだって…」

佐助はもう一度頷いて見せる。

『じゃあ、佐助君安土にいるのは、織田軍を?
って!ダメじゃん!ここにいちゃ!見つかったら…』

少し声の大きくなった愛に、人指し指を口に当てて見せる。

「っ!ごめん…」

『大丈夫。見つかるようなヘマはしない』

「ね、ねぇ…幸って…」

佐助に連れられ、一緒に城下で遊んだ日を思い出す。
行商していたのに、まるで商売が向いていないように感じた違和感を。

団子屋では、〈好きで売ってるわけじゃねー〉って…

『あぁ。幸の本名は、真田幸村だ』

愛の目が最大限見開かれる。

(良かった…帰って来るまで誰にも見られなくて…)

「じゃあ、戦が始まったら…敵同士…」

不安と心配押しつぶされそうになる。
きっと、今までのようには会えなくなるだろうと思った。

『安心して。敵陣にいても、俺は愛さんの味方だ。
どうにか乗り切って、一緒に現代に帰ろう』

佐助は力強く頷いて見せる。



/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp