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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


それからというもの、佐助はちょくちょく天井からやってくる。
決まって、愛が落ち込んだ時、寂しくなった時に。

佐助の少しだけ緩める口元、優しい目、
それらを淡々とした表情の中から見つけられるのは、
愛の特技でもあるかもしれない。


『やぁ、愛さん。こんばんは』

「いらっしゃい、佐助君!お茶どうぞ」

用意の良い愛に、少しだけ目を見開き驚く佐助。

『どうしたの?来るって言ってなかったのに』

佐助の言葉に、愛は、
何故か俯いて恥ずかしそうにしている。

「佐助君が…」

そこまでいうと、また口ごもる。

『俺が?』
佐助はまだどこか不思議そうな声色で続きを待つ。

「今日も来てくれたらいいな…って、毎日思ってて…」

顔を上げると、真剣な表情で愛の言葉を聞いている佐助。
何も言われてないのに、つい焦ってしまう。

「あ、や、変な意味じゃなくて、ほら、
誰かくると、佐助君すぐ帰っちゃうでしょ?だから、
用意しておいた方が…もっとゆっくり話せるかな…って…」

だんだん最後の方は声が小さくなり、
再び下を向く愛に、

『気を使ってくれてありがとう』

そう声をかける佐助。
優しい表情を上目遣いで確認すると、
漸く愛は落ち着きを取り戻す。

『毎日、寂しい思いをさせてすまない』
そう言いながら、愛のギュッと握っている両手をそっと包む。

「ううん。大丈夫。
世話役の仕事も前より増えてるし、
あ!それに、今は針子の仕事もだいぶ慣れて来て
今日は政宗から羽織の依頼もらったんだよ!」

嬉しそうに、顔を輝かせる愛に、
佐助も少しホッとする。

『そうか、それは良かった。
みんなと上手くやってるんだね』

「うん!三成君が針子の話、信長様に通してくれたおかげかな」

愛は一瞬、佐助の顔が曇ったような気がした。

『石田三成か…』

「三成くんがどうかした?」

『いや…。俺がここにいると、必ず三成さんが現れるな、と思って』

愛は、あまり気にしたこともなかったが、
確かに誰かの気配に気づき、佐助が天井に帰って行く時にやってくるのは
三成だと思い返す。

「うーん。確かにそんな気がする…
けど、たまたまじゃないかな?」


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