• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


『こちらの中庭でしたら、風もあまり当たりませんので如何でしょう』

やる場所を決める際に、愛は、
なるべく風が当たらないところを指定していたのだ。

「うん、いいと思う。
あとは、蝋燭に火をつけてここに置こうか」

と、平たい石段の一段目を指差す。

『はい…
こんな感じで宜しいですか?』

愛の指示通りに三成が蝋燭を倒れないように配置する。

「うん。準備はこれだけだよ」

二人は蝋燭を置いた石段の上の段に腰を下ろした。

「上の方を持って、ここに火を付けるの」
愛が先にやってみせる。

火がつくと、先端はだんだん丸くなり、
しばらくすれば、パチパチ…と儚い火花を散らした。

三成は、興味津々で見つめている。
すると、殆ど火花が出なくなった先端が、
ポトっと地面におちた。

「これでお終い。私が知ってるのはよりは少し短いけど、
でもとっても綺麗…」

愛が独り言のように呟いた。

『花火というには派手さはありませんが、
とっても繊細な火花を散らすのですね』

三成は感心したように、燃え尽きた花火を色々な角度で眺めている。

「せーの、で火をつけて、どっちが長く玉が落ちないかを競ったりしたな」

愛は、夏になるといつものメンバーで花火をしていたのを思い出す。

(いつからやらなくなったんだろう…)

『やってみましょうか』
三成の声に顔を上げれば、笑顔で線香花火を渡される。

「うん。やってみよ。
あ、この先端は凄く熱くなるから火傷しないようにね?」

三成の不器用さを思い出して、慌てて注意をした。


《せーの!》


パチ…パチパチ…

『風はなくても、手を固定しているのは難しいですね…』

既に手がフルフルと震えている三成は、真剣な顔で火花を見つめる。

「三成くん、そんなに力入れない方がいいよ?
プルプルしちゃうでしょ?」

言ってるそばから、先に三成の玉が下に落ちる。

『あぁ…私の負けですね。これは奥が深い。
精神統一の鍛錬になりそうです…』

「あ、私も落ちた」

『愛様、もうひと勝負お願いします』
さっきの笑顔はどこへやら、真面目な顔で三成がリベンジを申し入れる。

「三成くん、折角の線香花火だから、
そんな怖い顔しないで、もっと楽しもう?」

愛の言葉にハッとする。
/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp