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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


佐助が突然、表情を硬くした。

『愛さん、今日はタイムリミットだ。
明日は無理かもしれないが、遅くても明後日には。
あと、茶碗すぐ片付けて』

そう言うと、来た時のように音もなく去っていく。
天井の板を元に戻す時に、小さな声で

『ドロン』

と、言ったように聞こえた。

(佐助君て、時々ノスタルジーなんだよね…)

そんな事を思いながら言われた通りに佐助の湯呑み茶碗を片付ける。
愛が膳の前に戻ったのと同時に、

『愛様、いらっしゃいますか?』

と、三成の声がした。

(佐助君すごい…)

漸くタイムリミットの意味を把握した愛は、
何事も無かったように、

「うん。どうぞ」
と、声をかける。

そっと襖が開くと、笑顔の三成が顔を出す。

『お食事は終わりましたか?』
と、言うと、愛の前に座る。

「うん。今ちょうど食べ終わったところだよ」
と、微笑む。

『今日は、珍しいものを頂いたので、愛様と試して見たいのです』
ニコニコと話す三成は、紙の包みを懐から取り出す。

「試す?」
何だろうと、包みを覗き込むと、
そこには、見慣れた懐かしいものに似ているものが束になっていた。

「わぁ、もしかして線香花火?!」

愛の顔がパッと明るくなる。

『せんこうはなび、ですか?
成る程、これはそう言う名前なのですね。愛様は博識ですね』

と、三成は最高のエンジェルスマイルで笑いかける。

『花火職人が手持ちの物を試作しているということを聞いて、
城下まで行って見たのです。愛様のいらっしゃったところでは、
有名なものなのでしょうか』

「うん。夏になるとみんなでよくやったよ?
私が知ってるのは、もう少しカラフル…濃いピンク…う…」

『どうされました?』

聞いたことのない言葉を並べる愛に三成は驚いているようだ。

「えっと、もう少し赤とか、色とりどりな配色だったけど!」

『そうなのですね。愛様がやり方を知ってらして良かったです。
ぜひ、今からこちらの遊び方を教えて頂けませんか?』

「うん!私もやりたい」
(カタカナ使わないゲームみたい…どうにか伝わったかな)

そうして二人は、線香花火をするために、
秀吉の部屋の前の中庭まで移動した。


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