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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第11章  忍びの庭 前編(佐助)


〈はぁ…〉

三成は、自分の主が珍しくため息ばかりついているのを不思議そうに見ていた。

(部屋に戻られてから、もう二十六回目のため息ですね…)

『秀吉様』

「・・・」

『秀吉様?』

「・・・」

三成は立ち上がると、秀吉の耳元まで顔を寄せる。

『秀吉様っ!』
「わぁっ!なんだ!」

耳元で大きな声を出された秀吉は、
驚いて素っ頓狂な声をあげた。

「なんだ、三成!普通に話せば聞こえる!」

まだ動機が治らないのか、胸に手を当てたまま、
秀吉はしかめっ面で三成に言う。

『すみません…先程からお呼びしていたのですが、
全く気づいて頂けなかったもので…』

読書に集中して返事のない三成に、
いつも秀吉がやっていた事を、今日は逆にやられてしまい苦笑する。

「あぁ…すまなかった。ちょっと考え事をしてたんだ…。
何かあったか?」

『いえ。秀吉様が二十六回も溜息をついていらっしゃったので、
どこかお身体の具合が悪いのではないかと…』

三成が溜息の数を数えていた事にも驚くが、
自分がそんなにも溜息をついていた事にびっくりした。

『愛様の事ですか?』
ギクっという音がしそうな程秀吉の心臓が鳴った。

「お、お、お前、なんでそんな…」

『愛様のお部屋からお戻りになってから、様子が…』

「あ、あぁ…そういう事か…」

(時々、聡いんだよな、三成は…)

『愛様、どうかなさったんですか?』
三成は、深い事にはさっぱり気づいていないような顔で質問をする。

「いや…わからん。俺が様子を見に行った時に…」

秀吉は、自分を振り返った時の泣きはらした愛の顔が離れないでいた。
突然現れ、信長を助けた謎だらけの女。
警戒しつつも、悪い人物ではないような気がしていた。
少し様子を見に行っただけだったのだが…

『秀吉様?』

「あぁ。すまん」

『愛様のご様子は如何でしたか?』
屈託のない笑顔で訊く三成に、言いづらそうに秀吉は、

「あぁ…。泣きはらしていた…」

『え?』
余りにも想像と違えた秀吉の回答に、三成は驚きを隠せない。

『なぜ…』

「いや、それは…聞いていない」

『そうですか。私も後程様子を伺いに参りましょう』

三成は真剣な顔で秀吉に言う。

『あぁ。そうしてやってくれ。お前の方が話しやすいだろ』
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