第10章 たんぽぽ(政宗)
『ふふっ。そんなに頑張るな。
俺は今、お前と居られる毎日がこの上なく幸せだ。
お前が幸せなら、それが俺の幸せだからな』
「ま、政宗…」
真っ直ぐな目で見据えられて話す、真摯な政宗の言葉に照れる愛。
『よし、じゃあひとまず、今晩も幸せに浸るか』
そう言うと、サッと立ち上がり愛の手を引く。
「え?」
わけがわからない愛は、手を引かれるままに褥へと誘導される。
「ちょ、ちょっと政宗、いい加減大人しくしてないと、傷が…
あ、包帯巻き直したの?手当するよ?」
『大丈夫だ。傷ももう塞がってきたし、一人で巻くのは慣れてるからな』
「そう…。一応聞くけど、見せたくない訳じゃないよね?」
『疑ぐり深いなぁ、俺の姫様は』
そう言うと、包帯の上にそっと愛の手を置く。
『大丈夫だよ。もうすぐ治る。心配するな』
優しく包帯を撫でながら、うん…と頷くだけの返事を返す。
「早く治りますように…」
愛は呟くと、傷があるであろう場所に、そっと口付けを落とした。
『愛…またお前が痛そうな顔してるぞ』
顎に指を置き、顔をクイッと上げさせる。
『ありがとな』
言いながら顔を近づけ、口付けをする。
「ん…」
いつもより優しいキスに、頭がぼーっと溶かされかけるが、
「政宗…ダメだからね?治るまで!」
強い気持ちで政宗の胸を押し返す。
『ここまで来て、止められんのか?』
そう言うと、愛の手首を掴んで引き寄せると、
自分の胸の中にすっぽりと治める。
その中でトントンと叩かれるが、もう一度唇を奪う。
「んん…っ…はぁ…ん」
角度を変え、強引に舌を割り込んでくる口付けに
呼吸を何度も奪われるうちに、
ついに愛も大人しくなる。
「ん…まさ…む…ね…」
『惚けた顔だな…お前、すげぇそそられるぞ』
そう言うと、そのまま褥に組み敷くように押し倒す。
胸元の合わせをはだけさせれば、月明かりでいつもより白さが増して見える。