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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第9章 アイ(家康)


『お帰りなさいませ、家康様、愛様。
お部屋にお食事の用意が済んでおりますよ』

「ありがとうございます。無事に戻りました」

御殿に戻ると、女中達が笑顔で迎えてくれる。
それに応えるように、愛も笑顔を向ける。

『愛樣がお戻りになられましたか。
これで明日からまたこの御殿にも花が咲きますな』

「戻りました。そんな、花だなんて…。
あ、庭の桜も満開みたいですね」

留守番の家臣達も綻んだ顔で迎え入れる。

「あんた…人気ありすぎでしょ…。
昨日俺が戻った時と全然違うんだけど…」

家康は拗ねたような口ぶりで言う。

「私は、家康からの人気がないと意味がないけどね」
そう笑いかける愛を見て、家康は頬を赧らめる。

「バカな事言ってないで、早く部屋に行くよ」

そう言うと、優しく愛の手を取り、
廊下を歩き出す。

家康の部屋の襖を開けると、奥の障子は開かれ、
夕餉の膳は縁側に用意されて、そこには行燈も灯されていた。

「わぁ…!謙信様の夜桜の宴も素敵だったけど、
この部屋で家康と二人でお花見出来るなんて…嬉しい!」

はしゃぐ愛の手を急にぐっと引き寄せ
家康は愛を性急に抱きしめる。

「家康、どうしたのっ」

「折角逢えたのに、他の男の名前出すって…。
ねぇ、まさか、あいつと二人きりになってないよね?」

至近距離で見つめる家康の瞳が揺れる。

「ごめんなさい。でも、ちゃんと家康との約束は守ったよ。
みんなで宴を開いてくれたの。
もちろん、三成くんも側に居たし、家康の家臣も…んっ…」

愛の言葉を遮るように、家康は少し乱暴に口付ける。

「…あっ…はぁ…どうしたのっ」

家康が顔を離すと、愛は驚いて言う。

「ねぇ、ちゃんと話し聞いてた?
他の男の名前出さないで。しかもよりによって…。本当に悪い子…」

「家康…」

「なに?」

「私…家康に嫌われたと思って…ずっと…」

愛の目涙で潤むのを見た家康は、

「泣かないで…。ごめん。
俺、自分の事ばっかで、傷つけてごめん。
でも、愛の事好きすぎて、愛が消えてしまいそうで、
怖かったんだ」

家康はそっと愛の目元に口付ける。



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