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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第9章 アイ(家康)


三成は申し訳無さそうな顔で、家康に話し始めた。

『道中、愛様には色々ご負担をおかけしてしまったのか、
日々、眠れないご様子でした。
毎朝顔色の良くない愛様を、気にかけるようにしていたのですが、
愛様は気丈に振る舞っておられたので、深くは理由を聞けず…

さすがに、旅の疲れがどっと出てしまわれたのか、帰城の道中、
睡魔に襲われていて、落馬の危険があったため、
こちらでゆっくりお休み頂きました』

三成の説明に、家康は胸が痛む。
きっと、政宗の言っていたように、
愛は魘されるどころか、眠れない日々を過ごしていたのだろう。

愛の事を一番知っている家康には、
今なら愛の気持ちに寄り添い、よくわかる気がした。

『ほらな』

政宗がたった一言呟く。

「わかった。迷惑かけた。
愛は起こさなくていい。俺がそのまま預かる」

「ん…。三成くん、着いたの…?」
目をこすりながら、愛は寝ぼけた声を出す。

「愛?」

突然聞こえた、待ち焦がれた声に愛は一瞬身じろぐ。

「いえ…やす?」

漸く目を開き、ゆっくり状況を把握すると、
馬上から、飛びつくように家康に手を伸ばした。

「わっ、ちょっと愛!
いきなりになにするのっ。危ない」

よろけながらも、すんでのところで愛を抱きとめた家康は、
触れた手が濡れた事に気付く。

「愛…?」

その顔を覗き込めば、声を押し殺して涙を流す愛しい人。

「おかえり…」

「家康、ただいま…」

自分の腕の中におさめてしまえば、今までの不安は嘘のように無くなる。
昨日の夜から、続いていた仄暗い想いは、
愛の温もりを感じれば、一気に晴れ上がった。

たった一瞬が、永遠に続いて行くと感じる不思議な感覚。
ふと愛を見れば、涙を流しながらも、
最高の笑顔を自分に向けていた。

「愛、ごめん…」

「もう謝らないで?
家康、文ありがとう。
家康を近くに感じたら、いろんな不安が一気になくなったの…。
私…家康のこと、大好きだよ」

家康は、愛の言葉を聞くと、
思いっきり抱きしめた。逢えなかった日々を焦って取り戻すよに。


--コホンっ--



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