• テキストサイズ

イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第9章 アイ(家康)


もう陽もだいぶ傾き、月と入れ替わろうかという夕刻のこと。

『おい、家康、帰って来たんじゃないか?』
家康、政宗と共に城門に出迎えていた秀吉が言う。

『おお、本当だ。
暫くあいつの顔見てないからな。家康もよろこ…』

喜べ!と言おうとした政宗だが、近づいてくる三成の馬を確認して唖然とする。
(あれは…どう見ても…愛だよな?)

三成の腕の中で愛がスヤスヤ寝ているように見える。

「どうしたんです?」
突然言葉を切った政宗を怪訝そうに見る。

政宗は、クルッと家康の身体を後ろ向きに回すと、
『お前そのままで待って…』

待ってろ!と言いたかったのだが…

『なんだ、愛は寝ちまったのか。可愛いやつだなぁ。
三成にすっぽり抱きかかえられて』

と、何も知らない秀吉が、微笑ましく笑いながら全てを言葉にしてしまった。

「愛…」

向き直した家康は、その光景をしっかりと見据える。

いや、一見見据えているように見えたかもしれないが、
実際、思考が停止していたと言った方が正解だったかもしれない。

政宗は恐る恐る家康に声をかける。

『おい、家康…』

「…」

暫く黙って近づくのを見ていた家康は、突然踵を返し城内に入ろうとした。

『おい、家康待て。逃げていいのか?何も知ろうとしないまま』
政宗の言葉はどこか厳しさがあった。

何も知らない秀吉だけが、困った表情で、

『何機嫌悪くなってるんだ家康。
愛がもし疲れて寝てしまいそうなら、
誰でもあの態勢しか取れないと思うが?』

と諭す。

『秀吉、こいつは機嫌が悪い訳じゃねぇよ。
怖いだけだ。自分のせいでな』

政宗の意味深な言葉は、秀吉には意味がわからない。
そうこうしているうちに、三成の馬は城門に到着してしまう。

「秀吉様、只今戻りました。
家康様、政宗様、この度はお疲れ様でございました」

三成は何事もないように笑顔で言う。

「それ、なに…」

家康が目線だけで愛の事を三成に問う。
/ 773ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp