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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第9章 アイ(家康)


不穏な空気が漂う広間の沈黙を破ったのは、佐助。

『はいはい。啀み合いはそこまで。
今日は折角愛さんと三成さんが来てくれたんですから、
みんなで楽しく過ごしましょうね〜』

手をパンパンと叩きながらいう佐助に、
信玄も顔を緩め、

『そうだな。麗しの天女が怖がっているじゃないか、謙信。
あんまり恐ろしい顔をしないように。
護衛ももっと楽しんだらどうだい?』

と、謙信と三成を宥める。

「そうですね。夕刻までの短い時間です。
愛様、存分にお楽しみ下さい」

その三成の言葉に、謙信はまた顔をしかめる。

『何を言っておる。今宵は満月だ。
愛、二人で夜桜を見ながら酒を飲むぞ』

「なりません。家康様より、上杉殿と愛様を絶対に二人にするなと言われております。
それに、先を急いでいるゆえ、夕刻には…」
三成の言葉を遮って、謙信が口を挟む。

『先程から家康家康と、馬鹿の一つ覚えか、お前は。
さぁ、愛、そんな奴は放っておいてこっちに来い』

謙信は立ち上がって愛の側により、腕を掴むと強引に自分の方へ寄せた。

「きゃっ」

シャキッ

愛の小さな悲鳴と、三成が柄に手をかけるのがほぼ同時だった。

「上杉殿、これ以上触れられますと、放ってはおけませんが」
『ふっ。お前のようなものが、この俺の姫鶴一文字に勝てると思うな』

「ちょ、ちょっと二人とも…やめてください!」

愛が大きな声を出すと、三成も謙信も驚いたように愛を見る。

「家康の言いつけは守ります。謙信様と二人になることは出来ません。
三成くんも、私は大丈夫だから、刀は納めて?」

『天女もこう言ってる。今日は仲良くしようじゃないか。
そうじゃないと、天女の笑顔が見られない』

信玄が呆れたように言う。

『でも、確かに今日は満月で夜桜日和だ。
天女と花見が出来ないのは残念だな。
なぁー、佐助』

そう佐助に言う。

『良かったら出立は明日でいかがですか?
春日山城の桜は、本当に綺麗だ。ぜひ、土産話に見ていって欲しい。
それに、夕刻に立てば夜の旅になる。敵陣で危険もあるのでは?』

愛は困った顔で三成を見る。
三成は暫く考えたのち、
「わかりました。出立は朝にしましょう」
と、渋々承諾した。
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