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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


秀吉に全てを見透かされた愛は、
観念して、歩きながら何があったかを全て話した。

「あんな…目の前で違う女の子引き留めてさ…。
幸村がわかんなくなっちゃった」

全て話し終えるまで、愛は一度も秀吉の顔を見ることはなかった。
ずっと俯き、思い出すのも苦しそうに、ただ秀吉の袖を掴んで歩き続ける。

愛の話を聞いた秀吉は、幸村が今日来るかどうか、
少しだけ不安になっていた。

(でも、今朝佐助は何も言っていなかったしな)

俯き続ける愛の頭をつかまれていない方の手でポンポンと叩く。

「じゃあ、それは、本人に訊くしかないな。ほら、ついたぞ」

秀吉の言葉に顔を上げると、そこにはなだらかな丘が続き、
桜の木が満開に咲き誇っていた。

「わぁ!」

大きな桜の木が、愛の視界に目一杯広がる。
愛は、今までのモヤモヤした気持ちを一瞬にして消し去り、
感嘆の声をあげた。

風に吹かれると、その花弁はハラハラと舞い、
愛の長い髪に絡みながら通り過ぎていく。

その余りにも幻想的な景色に、秀吉は思わず
「綺麗だな…」と呟く。

安土城の桜が好きな秀吉は、よく春になると一人足を止め見ていたが、
今目の前で愛の髪を撫でる桜吹雪ほど、
綺麗なものは、この世に二つとない。
そう思える程美しかった。


「さぁ、もう少し奥に行くぞ」
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