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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


幸村に逢瀬が出来なくなったと言われた、
あの衝撃的な日の夜、

ぼーっと縁側空を見ていた愛の元へ、
秀吉が訪れる。

『愛いるか?』

「秀吉さん?どうぞ?」

秀吉は襖を開けると、
まだ寒い春の夜に縁側に出ている愛を見つける。

『おい…風邪ひくぞ?』
そう言うと、隣に座る。

「どうしたの?秀吉さん」

『お前こそ、なんかあったのか?』
秀吉が言いながら、愛の頬に流れたであろう涙を
長い親指でしなやかに拭く。

泣いていたことに気づかなかった愛は、
驚いて、秀吉を見る。

「わぁっ、な、何でもないよ」

一瞬、昼間の事を思い出すが、今は秀吉の行動に鼓動を早くさせていた愛は

「で、どうしたの?秀吉さん」

と、冷静を装うように話題を変える。

『愛、明日空いてるか?休みらしいな』

そう言うと、愛は少し悲しそうな目で

「うん。何にも予定は…ないよ」

秀吉に力無く微笑みながら伝える。

『じゃぁ、花見でもするか。二人で』

その言葉に、愛の顔に花が咲いたような笑顔が溢れる。

(先に花見ができたな…可愛いやつ)

「うん!行きたい!どこで?」

『お前の喜びそうな秘密の場所へ連れて行ってやるよ』

そう言うと、愛の頭をクシャクシャと撫でる。

『だから、今日は早く寝ろよ?風邪ひかれたら、
行けなくなっちまうからな。明日、昼前に迎えに来るから』

「うん!」

さっきまでの涙の理由はわからないが、大方幸村が断ったからだろうと思った。

(明日は、その涙の分、喜ばせてやるからな)

『よし、じゃあもう床に入れよ?また明日な』

そう言うと、立ち上がり、愛の手を優しく取ると、
褥まで連れて行く。

「秀吉さんを好きになったら良かった…」

小さな呟きに、

『ん?なんか言ったか?』
聞き取れなかった秀吉が尋ねるが、

「ううん。明日、楽しみにしてるね!」

『おう。俺も楽しみだ』(あいつらもな)

そう言うと、愛の部屋を後にした。

(お花見かぁ…。よく、近くの公園にお兄ちゃんと行ったな…
裏山に行くと人気のない秘密のお花見スポットがあって…
お弁当作って行ったけ…)

暖かい思い出に浸りながら、愛は床についた。
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