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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第8章 私が髪を切る理由(幸村)


愛の告白から一夜明け、秀吉は一人城下へと出かけていた。
そして、城下で店を広げている幸村を見つける。

(いたか…)

女物の小物を扱っているだけあり、
幸村の周りには代わる代わる女性の客が訪れる。

客が途切れたのを見計らい、秀吉が近く。

「お前、もう少し愛想よくできないのか。
女相手に商売してるとは思えないな」

幸村は急な男の声の驚いて顔を上げる。

『秀吉っ!なんでお前がいるんだよ』

秀吉は少しムッとしたように眉をひそめる。

「真田…だから、お前に名前を呼ばれる筋合いは…」

『おい、まてここでその名前を呼ぶな。幸でいい』

幸村は秀吉の話を遮るように小声で言う。

「あ、あぁ…わるかったな。まぁいい。
幸、少し話す時間は取れるか。できればあまり人目のつかないところで」

幸村は訝しげに、

『なんでだよ』
とぶっきらぼうな言い方をする。

「愛について、お前に話しておきたいことがある」

愛の名前を出され、幸村は少し驚いた顔をする。

『わかった。
俺も出来ればあんたと会ってるところは見られたくない。
どこかいい場所あるか?』

「城下を抜けたところに、別宅がある。
そこには、女中も家臣も置いていないから、そこでどうだ」

『わかった。店を片付けるから少し待っててくれ』

そう言うと、広げていた露店を手際よく片付けていく。

「しかし…なんでお前、女物の小物扱ってるんだ?」

『それはこっちが聞きてぇよ…』
幸村はそう言うと深くため息をついた。




秀吉が別宅と呼ぶ場所につくと、
綺麗に管理されているが、人の気配は無いようだ。
秀吉は慣れた手つきでお茶を淹れると、

「毒は盛ってない。安心しろ」
そう笑いながら幸村に差し出す。

『お、おー…』

言われた事で少し戸惑う幸村を尻目に、秀吉は自分のお茶をすする。

「さっさと本題に入らせてもらうぞ。
お前、愛のいた時代での家族について、
どこまで知ってるんだ?」

そう言われると、佐助が小さい頃からの幼馴染だったことも、
愛には兄がいたが、どうやらもう亡くなっていること、
全てこの数日で知ったことだ。

『残念ながら、殆ど知らねーよ…。
あいつ、しゃべんねぇから。そういう事』

「そうか」


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