第8章 私が髪を切る理由(幸村)
安土の隠れ家に移動すると、
幸村は部屋に入るなり愛を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと幸村…苦しい」
慌てて愛が体制を立て直そうともがく。
『大人しくしてろよ…ここまで結構必死に我慢したんだ』
余裕なく掠れる声で呟く幸村。
ゆっくりと愛を床に押し倒すと、
愛も観念したように微笑みながら、
幸村の頭に手を回し髪の毛の間に両手を埋める。
「良かった。幸村がちゃんと私の事好きでいてくれて」
目を潤ませながら、微笑む愛を見下ろす。
(おい…可愛いすぎるだろ…)
幸村は愛への返事の代わりのように、
口付けを落とす。
首筋、鎖骨と口付けながら、手は襟元をはだけさせている。
「ん…あっ…はぁ…」
一つ一つの口付けに敏感に反応するたびに、口付けがまた落とされていく。
『ごめんな。愛。俺、余裕無いかもしんねぇわ…』
「いいよ。幸村に触れられたかったから…好きにして…」
その言葉を聞くと、一気に幸村の心臓は早く波打ち、
一度思いっきり愛を抱きしめる。
『お前のせいだからな…』
そう言うと、日が暮れるまで
愛の身体を覚えこもうとするように求め続けた。