第7章 LOVE LOVE LOVE(政宗)
わけもわからず、政宗の顔を見つめる。
『なんで我慢してたんだ…お前の気持ちを。
迎えに来れなくなるまで』
少し意味のわかった愛は、
困った様な力の無い笑みで政宗を見ると、
「私の我儘で、政宗の好きなことや、
仕事に口出しをするなんて出来ないよ」
と、笑ってみせる。
『全然笑えてねぇだろ。
それで俺を誤魔化せてるつもりだったら、
相当見くびられたもんだな』
真剣な眼で政宗は言う。
『確かに、俺は戦う事が仕事だ。
だけど、お前の気持ちも受け止められずに、
何も知らずに戦ってるなんておかしいだろ』
にゃぁ…
少し声を荒げた政宗に、照月が何か言いたげに鳴く。
《優しくしてやれよ》
政宗は、秀吉の言葉を思い出す。
『お前、随分な夜に秀吉を部屋に上げたらしいじゃないか。
よく考えて行動し…』
言い終わらないうちに、愛はスッと立ち上がる。
「政宗、今日は疲れてるでしょ?
もう休んだほうがいいよ。
お腹すいてたら、ご飯食べてね。
私、喧嘩したくて待ってたわけじゃないから…。
今日はお城に戻る。じゃぁね」
そう一気に言い切ると、足早に部屋を出ようとする。
『お、おい…ちがっ…』
政宗の言葉を待たずに襖が閉められる。
(あー、なんでこうなるんだよ!)
慌てて愛を追いかけ、玄関で捕まえる。
手首を思いっきり掴まれた愛は、
「離して!」と強く言う。
『いいや、ダメだ。離さない!』
そう言うと、無理やり愛を横抱きにし、部屋につれ戻す。
『お前のいる場所も、帰る場所もここだ。
どこにも行かせるかよ。やっと…お前の顔が見れたって言うのに…』
そう言うと、襖を器用に閉めて、
愛を膳の前に下ろし、自分も隣に座る。
大人しく座るが、気まづそうに俯き続ける愛に、
『ほら、飯食うぞ。せっかく作ってくれたのに、
冷えちまったな。悪かった…待たせて』
そう言うと、政宗は箸を取る。
愛も、何も言わずに食べ始める。
『上手くなったな、愛』
笑いながら言うと、愛の頭をポンポンと軽く叩く。
ポタ…ポタ…
音を立てて、愛から大粒の涙が畳に落ちた。