第6章 恋の試練場 後編
(嫌な予感しかしないんだけど…)
朝餉の時間になっても現れない三成と愛を呼びに行く役目を任された家康は
朝から不機嫌に愛の部屋に向かっていた。
秀吉が三成の部屋を見に行ったが、戻った形跡がなかったらしい。
と、すれば…。
昨日、愛を送りに行った事を知っていた家康が、
何故か話の流れで、よりにもよって愛の部屋に迎えに行くという、
なんとも屈辱的な役目を押し付けられた。
重い足取りで向かっていたが、急に足をピタっと止める。
『あんたたち、気になるなら自分でいけばいいでしょ!』
振り向きざまにそう声を荒げれば、後ろからそっと付いてきたつもりだった
政宗と光秀がビクっと肩を震わす。
『見たいけど見たくないから、お前いけ』
政宗が訳のわからない事を言う。
はぁ〜〜
盛大にため息をついて、家康はまた歩を進める。
(愛に何かしてたら…ただじゃおかない…)
フツフツと湧き上がる怒りの感情を抑えながら、
愛の部屋へと向かう家康と、二人であった。
朝の光というには、強すぎる日の光に心地よい眠りを妨げられる。
(ん…もう朝ですか…うっ…凄く頭が痛い…なんでしょうこれは…)
まだ微睡みながらも、二日酔いの頭痛を抱えた三成は、
ふと自分が何も纏っていないことに気づく。
(あれ…昨日何がありましたっけ?)
驚いて目を開ければ、同じく何も纏っていない愛が、
自分の胸の中でスヤスヤと寝息を立てているのが見える。
(?!?!)
何が何だかわからない三成は、一生懸命昨晩の事を思い出す。
光秀と政宗、そして無言の家康に散々飲まされていたのは何となく思い出せる。
(そうだ、愛様をお部屋まで送って…)
モヤモヤと思い出せない部分を探りながら、起き上がり部屋を見渡せば、
脱ぎ捨てられた自分と愛の晴着が見える。
ふと、褥を見れば、自分が起き上がったことによりめくれた布団から、
愛の素肌が見えるが…
(この花びらのような跡は…私がつけたのでしょう…ね)
そっと、布団を戻すと、まずは着物を纏い落ち着こうと考えた。
布団から出ようとした時、
「ん…三成くん…おはよう」