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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第5章 恋の試練場 中編


一度目を閉じると、愛はどんなに揺さぶっても反応しない。
まるで、意識がどこかに吸い取られているようだ。
家康は、ずっと呼び続ける。

「愛?目を開けて!」

さっきのあの儚い顔はなんだったんだろう。
目の力もなく、あんな笑みは見たことがなかった。

家康が一生懸命愛を呼んでいると、襖が開き、
『どうされましたか?』
と、焦ったような三成の声がかかった。


「いや、なんか、今愛を寝かせちゃだめな気がして。
でも気のせいかもしれない…」

三成に見られたことにバツが悪い家康は、
抱えてた愛を戻そうとする。

『いえ、きっと家康様がそう思われたなら、なにかあるはずです。
起こしましょう。お手伝いします』

険しい顔で三成が近寄る。

「わかった。でも、愛が起きる前に、
その怖い顔どうにかしなよ。」

いつもならすぐに、キョトンとしそうな三成だが、
家康の言葉に更に顔を暗くした。

『ひとまず、早く…』
そう言って、愛に声をかける。

『愛様?聞こえますか?三成です。
少し、起きて頂けませんか』

(今反応した?)

三成、という名前に身体が反応した気がした家康は、
あまり面白くないが、仕方ないと腹をくくり三成に委ねる。

『愛様、目を開けてください!愛様!』

すると、愛の目がゆっくりと開く。
しばらくは空を見ていた視線が、はっきりと三成に合う。

「三成くん!!三成くんのせいじゃないからね?
だから、無茶しないで!」

そう言うと、思いっきり手を伸ばし三成を抱きしめる。
先程の虚ろな目とは違い、光の灯った愛の目は、
秀吉から聞いた話をしっかりと思い出し、三成を見つけて慌てているようだった。

『愛さまっ、ええと…どうされましたか!』

いきなり抱き締められた三成は何が起きたかわからずに、
顔を赤くしたり、目を見開いたり、表情が忙しかった。

(戻った…)
そう思った家康は、

「愛、落ち着いて。ちゃんと起きれる?」

と言いながら三成を抱きついている手を、そっと外し自分の方を向かせた。
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