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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第5章 恋の試練場 中編


「愛の様子はどうだ、家康」
信長は毎朝家康の御殿に顔を出し、同じ質問をして城に戻る。

『まだ目覚めませんが、時折苦しそうに魘されています』
三日間同じ返事をしている。

家康の御殿に運ばれて三日。
未だ愛は目を覚ましていなかった。

時折、悪い夢を見ているのか、苦しそうにうなされている。
魘されたかと思うと、そままパタリと反応が無くなってしまう。
そんな事を繰り返していた。

家康はずっと愛の側にいる。
甲斐甲斐しく、火傷に薬を塗ったり、魘されて汗の滲む額を拭いたり。
その様子を、代わる代わる武将たちが診に来る。

いつもの家康なら追い返していたかもしれない。
けれど、皆んなの心配が痛いほどわかる。
特に、一緒に居ながら愛を危険な目に合わせたという傷を負った三成は
どれだけ悔しい思いをしているだろう。

あんなにいつも、どんな時でも笑顔を見せていた三成は、
あの日以来、いつも厳しい顔をしている。
参謀として策を練っている時でも、あんなに厳しい顔をしたことがあっただろうか。
家康は、三成が来るたびに思っていた。

気にくわない存在には違いないが、家康と政宗があの時呼び止めなければ、
こんな事にはならなかったという思いもある。
でも、三成はそんな事は一言も口に出さない。
全て自分のせいにしているに違いない。


「家康様、失礼致します」
そんな事を考えていると、当の本人が現れる。

「まだ、目を覚まされませんか…」
三成が辛そうに愛を見ている。

『目は覚まさないけど、魘されてるから意識は戻ると思う』
家康は前向きな言葉を選んだはずだった。

「愛様は元気になられてからも、時々魘されるようなものに襲われるのでしょうか…」

(そんな事まで考えてるの…)

三成が、自然に愛の頭を撫でるが、全く反応はない。

「愛様…本当に…」
"申し訳ありません"という言葉を何故か飲み込んだ。
そう言うと決まって愛は申し訳なさそうな顔をするからだ。

「早く、元気になって下さいね…」
そう言うと、家康に向き直り畳に拳をつき頭を下げる。

急なことに一瞬驚く家康に、

「私のせいで家康様のお手も煩わせる事になって申し訳ありませんでした』
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