第5章 恋の試練場 中編
燃え盛る炎の中、目の前に誰か見えた。
…っ!
愛は必死でその姿が見えるところまで向かう。
誰?誰かいるの?!
自分の周りも燃えるように熱い。
けれど、目の前にいる誰かを置いてはいけない。
必死に炎をかい潜り辿り着く。
信長様!!
ここは?本能寺?!
なんで私…
そんな事はどうでもいい
信長様!!
愛が叫ぶと、信長はこちらを見た。
早く!逃げますよ!!手を!!
愛が手を伸ばした瞬間、
信長の後ろから長い棒のような物を振りかざす影が見える。
あぶない!!
すんでのところで手が届いた。
信長様!!
そう言って顔を上げると、その手を取っているのは…
信長様じゃない!
あなた誰?
知ってる。
私この人…
何か大切な事を忘れてる…
場面は一瞬にして森の中
走り彷徨っている愛に声をかける男がいる。
ーーーー顕如ーーーー
そうだ、さっき炎の中で信長様を殺そうとしていた人影
あれは、本能寺の森の中で会った、顕如と言う男だ。
なんで今まで忘れていたんだろう。
早く伝えなきゃ…早く…!!