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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第5章 恋の試練場 中編


二人は城下の賑わいを潜り抜けて、反物屋に辿り着いた。

「はぁ…」

愛は緊張で溜息が出た。

『愛様、どうなさいました?お疲れでしょうか…』
三成が心配そうに覗き込む。

「違うの。三成くんは喜んでくれたけど、反物屋さんに見せるとなると、
やっぱり緊張しちゃって…」

弱気にそう言う愛に、三成は最高の笑顔を見せて言う。

『大丈夫ですよ、愛様。私も今までに色々な方がお仕立てする着物を見てきましたが、
これは、本当に素晴らしい出来です。秀吉様も羨ましいと仰っていました。
自信を持って下さい!』

そう言いながら、愛の背中を押す。

「うん。そうだね、私は三成くんが喜んでくれるだけで満足だしね」

そう言うと、改めて反物屋ののれんをくぐる。

『こんにちは』
先に入った三成のあと、直ぐに愛も入る。

「ご無沙汰してます…」

二人の声を聞くと、人の良さそうな主人が笑顔で近づく。

『これはこれは、石田様、愛様!
お待ちしておりました』

そう言うと、直ぐに三成の羽織に気づき、

『これは…』と目を見張った。

「如何でしょうか…」
愛が控えめに問う。

暫く三成の羽織の出来を見た主人は、ため息まじりに言葉をかける。

『愛様、これは自分の想像以上でございました。
この反物の色味を最大限生かした上に、石田様の普段の着物にも合うような刺繍が施されていて…
これは本当に素晴らしい物でございます!』

その言葉を聞いて一気に緊張が解けた愛は、
身体中の力が抜けるのを感じた。

三成は愛の背中に手を回し、そっと触れる。
『良かったですね、愛様』

と、ニッコリ笑いかける。

愛はふっと笑うと、
「ご主人は私の気にしたことを全て言い当てられました。
さすが、素晴らしい反物屋さんですね」

そう話す。

「よろしければ…」と、三成が持ってくれている包みを見やると、
三成が主人に渡す。

「これをお受け取りください」
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