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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第1章 ワームホールはすぐ側に(家康)


そう言い終わらないうちに、
愛の目からはポタポタと大粒の涙が溢れる。

家康のことだから、ヤキモチだとはわかってる。
でも、自分が一番解って欲しい人に、
自分の仕事を否定された気がして、
息をするのも苦しい気分になった。

本当は、遠い未来でデザイナーという夢を叶えるはずだった。
そのために、色んなものを犠牲にもしてきた。
取り戻せないものも…
そうして漸く掴んだ夢。
それが叶わなくなった今、ここで出来ることを精一杯やりたい。
それで、沢山の人を笑顔にできるなら。
選んだのは自分だ。ここで生きて行くことを。
この戦国時代という不安定な時代に少しでも
安らぎを与えられることができるなら…。



自分のせいで一番愛しい人が涙を流しているというのに、
まだ家康は素直になれない。
そうじゃないって言って、ごめんて言って
素直に抱きしめればいいだけ…
わかっているのに、どうしても政宗と愛の微笑ましいやりとりが
脳裏からはなれず、出てきた言葉は心とは裏腹な
天邪鬼なものだった。

「はぁ…
本当にめんどくさい…
いつまで泣いてるの。そんなんで良く今まで生きてきたね。
500年後ってそんなに泣いて済まされる時代なの?
帰った方がよかったんじゃないの……」
(やばい…そうじゃないんだ…言いたかったのはこれじゃない…
俺…めんどくさい…)

愛は家康の言葉を泣きながら聞いていた。
最後の言葉を聞いた時に不思議とスッと涙が止まった。
本心じゃない。それは一番わかってる。
でも、今日はそれを見過ごせる余裕がないのもわかってる。
このままじゃ、喧嘩になる…。

(私きっとまた、酷いこと言ってしまう…)

そう思った愛は、

「今日は帰るね。」

それだけ静かに言うと、素早く立ち上がり襖を開けた。
そして、後ろからの声を振り払って足早に帰路につく。
湿った空気が、雨が降り出しそうな事を予感させる。
そんな夜道を、涙をこらえて走った。

この時代に来る前の辛い過去を思い出しながら…。
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