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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第1章 ワームホールはすぐ側に(家康)


「政宗さん!」

少し離れたところから、さっきよりも不機嫌で厳しい声がかかる。

『おぅ、悪ぃな、家康。
お前の事すっかり忘れてた』

そう言うと、

『ほら、愛、
早く家康のとこに行ってやれ。
相当のお怒りだぞ。』

と、笑いながら愛を促す。

「政宗本当に一緒にご飯食べないの?」

『流石に今日はお前達の邪魔する程野暮じゃねーよ。
じゃあ、仕立て代。
ありがとう愛。』

そう言って、お金の入った布袋を渡すと、

『じゃぁな〜!』

と手をヒラヒラさせて帰って行った。


愛は、家康の隣に座ると、
「行っちゃったね。」
と呟く。

『いて欲しかったわけ?』
と、既に料理に手を出していた家康が、
目を合わせずに言う。

「なんか、悪いなって思って。
こんなに作ってくれたのに…」

『そう思うなら、さっさと食べれば。
冷めるよ。』

「うん…
お、美味しいっ!」

一口食べると、自分の空腹さを改めて知らされる。
愛はニコニコして、自分の為に作られた料理に
箸をつけていく。

「やっぱり、政宗の料理は美味しいね!」

自分の分を綺麗に平らげて
家康に微笑みかける愛を見て、
どうしても素直に同意できない家康は

『だって、あんたの好物ばっかりだからでしょ。
あんたの事想って作ったんだろうから…』

「でも、家康のはちゃんと辛く味付けしてくれてるんでしょ?
家康の事も、ちゃんと想って作ってくれてるよ!」

そう返され、家康は深いため息をつく。

『あんたは、政宗さんの事想って、あの羽織仕上げたんでしょ?
で、政宗さんはあんたのこと想いながらこの料理作って、
相思相愛で良かったじゃない。』
(うわ…完全に八つ当たりの妬きもち…
みっともない…。
愛は代金もらってるんだし、ただの仕事なのに…)

そう思っても、口をついてしまったものは、
取り返せない。
愛を見ると、一瞬驚いた表情をみせたが、
すぐにそれは悲しみの顔に変わった。

「なんでそんな事言うの…
ひどいよ…私は、誰の着物を仕立てる時も、
その人の事想って作ってる。
袖を通してくれた人が笑顔になってくれればって…
別に政宗だからじゃない…
家康、いつもそんな目で私の事見てたんだね。」




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