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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第4章 恋の試練場


光秀との食事を終えた愛は、また文机に向かっていた。
デザインを考える手を止め、時々さっきの光秀を思い出していた。

(光秀さんて…凄く良い人なのかも…)

気分転換もかねて、ノートの新しいページを開くと、
愛は光秀のいつもは見せない柔らかい表情を思い出しながら
デザインを描いた。

普段は闇を纏ったようなオーラを出す時もあるが、
今の愛の中に浮かぶのは、優しくて、少しだけ意地悪な兄にような光秀。

(秀吉さんとは、また全然違ったお兄ちゃんだなぁ)

そう思いながら、光秀の隣に秀吉の姿を描いてみる。
いつもは犬猿の仲のように見える二人が、
愛が描くノートの中では、本当の兄弟のように肩を並べた。

(みんな、顔立ちが良いから、何を着せても映える…けど)

それぞれの顔の特徴や、好きな色味を思い出し、
でも、自分なりのデザインを…と、描き重ねていく。

気づけば、無意識のうちに政宗や信長をイメージしたデザイン画も書き上げていた。

(家康さんは…)

どうしても、愛の中での家康は身近に感じられず、手が止まってしまう。

(本当はどうなんだろう…でも、やっぱり嫌われてると思うんだ…)

その思いを拭いきれず、愛はノートをパタリと閉じた。
ふぅ…とひとつため息をつく。
こんなに一生懸命絵を書いたのはいつ以来だろう…

(流石に頭が疲れたかも…)


ふと、色取り取りの端切れに目をやる。
(こっちだったら、何も考えずにできるよね…)

そう思った愛は、以前に針子部屋で借りてきていた裁縫道具を引っ張り出し、
気の向くままのデザインに切り分け、それらを縫い付けていた。


陽がだいぶ傾き、夕闇を連れてくる頃になると、
愛の周りには、小さな手のひらに握り締められるくらいの
巾着型に縫われた袋がいくつも転がっていた。

色々な端切れを貰ったおかげで、柄も違えば肌触りも違う。
男物の反物の端切れもあるため、落ち着いた色味のもの混ざっている。
女の子でなくても選ぶのに迷ってしまいそうなほどだ。

その1つの中に丁寧に練り香を入れていく。
周囲は、あっという間に白檀の香りに包まれていた。




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