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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第4章 恋の試練場


勢いよく飛び込んでいってやろうと思ってた政宗は、
中から聞こえてくる愛の悲痛な胸の内を聞いて、
声をかけられなくなった。

(てっきり、三成が手ぇ出してんじゃねーかと思ったら、なんだよこれ…)

政宗はそのまま音を立てずに襖の外にきな粉餅の皿を置いて、去った。

広間に戻る前に台所に置きっぱなしにした残りの餅を皿に入れる。
戻る廊下を歩きながら、もう一度同じようにここ最近の愛を思い返す。

(あいつが笑わなかったのは…俺のせいか)

「そりゃ弄ばれてると思ってるんじゃぁ笑えないよな」
そう呟くと乾いた笑いを自分に向ける。



広間に戻ると、さっきよりはポツリポツリと会話のある食事風景がそこにあった。
『おい…どこ行ってたんだ…』

秀吉が、政宗に物言いたげに聞くが、
政宗は無視するように
「ほらよ」
と皿を真ん中に置く。

『は?なんで今きなこ餅…』
家康が訝しげな顔をする。

「お前、愛の部屋に行ったな?」
意地悪そうな笑みの光秀が言う。

『へぇ。で、あの二人は宜しくやってたわけ?』
信長以外のここにいる者たちは、
三成だってあるいは手を出しているかもしれないと思っていた。

「いや…」
そうとだけ政宗が言うと、

『どうした。貴様らしくも無い歯切れの悪さだな』
と、面白そうに信長が笑う。

「信長様は全てわかってたって事か…」
苦々しい顔をする政宗に、ついに我慢しきれなくなった秀吉が詰め寄る。

『何があったんだ。言え』

すると、政宗は自分が立ち聞きしてしまった事をポツリポツリと話し出した。
話の最後に、

「家康…お前…災難だな…」
と、力なく笑いをつける。

『もう、知ってる』と家康は不機嫌そうだ。

秀吉は、急に明かされた愛の胸の内に頭がついて行かず
口をパクパクさせるが、言葉が出てこない。

光秀はふふっと笑い、
「それみろ。お前は世話焼きに頭がいきすぎなんだ。
最初の頃みたいに、よしよししてやってれば良いものを」

と、秀吉の肩を叩く。

『あんたたちはまだいいよ。俺は挽回できない…』
半ば諦め口調の家康がいう。

「そうか?」
政宗が口を挟む。
「一番どん底からなら、幾らでも這い上がれて羨ましいけどな」

『どん底…』
家康が政宗を睨みつけた。
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