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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第4章 恋の試練場


「悪いが、ちょっと借りるぞ」

そう言って政宗は台所の女中に声をかける。
もう全て終わっているから、お好きにどうぞと女中たちが出て行く。

「本当に気に食わねぇ。あいつなに考えてるんだよ」

心の声は惜しげもなく吐き出しながら、手際よく手を動かしていく。
手を動かしながら、ここ数日の愛を思い出していた。
しかし、どんなに思い出そうとしても、愛の笑顔に行き当たらない。

いたずらを仕掛けられたことに気づき、少し怒っている顔。
困った顔が見たかったのは確かだが…

口づけをしたら真っ赤になって黙った。
俯き、小走りに去った愛の顔はどんなだっただろう。

そして、今日の朝餉は、愛の喜ぶ笑顔が見たくて早起きまでした結果、
膳をほとんど残し、終始暗い顔をしていた。

「それがなんだよ…あの眩しい笑顔は」

三成と出かける時の、城を出る愛が蘇る。
何時もよりお洒落をして、見たことも無い髪結いに着物。
自分では無い男のために自らを飾った愛。

「やっぱり気にくわねぇ」
そう言うと、いつの間にか出来上がっていたきな粉餅を
丁寧に皿に盛り付け、台所を後にした。


(今日中に一回は「美味しい」って言わせてやる。)
そう心で呟き、愛の部屋に足を運ぶ。
三成だけいい思いはさせない。そう思っていた。

(どうせ二人でキャッキャしてんだろ)
想像するだけで腹がたつ。

(あいつを笑わせるのは俺だ)
その想いを抱きながら愛の部屋に着く。

(ん?)
予想に反して、中から聞こえたのは、今にも泣きそうな声で話す愛の声だった。


『秀吉さんは、前は優しいお兄ちゃんみたいって思えてたけど
最近は朝の注意事項の時も食事中も私を見て怖い顔してるし、
光秀さんは、口を開けば冷たい目で怖いことばっかり言うし、
政宗は、…いたずらとか、口付けとか平気でして、私を弄んで楽しんでるんだろうし、
家康さんは…きっと私がいない事を望んでるくらい嫌われてるんだろうし…』

(は?どれだけ鈍感なんだ?)



『戦のない時くらいは、笑顔を見せたり、穏やかに過ごして欲しいと思うから…
私のせいで、それを奪ってるのがとっても辛いの…』

(俺たちを思って辛いっていうのかよ…)

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