第4章 恋の試練場
『愛様、今直ぐには難しいかもしれませんが、
気持ちが落ち着いた頃に、同じ様に他の皆さんとも
時間を過ごされてみては如何でしょう。
きっと、皆さんの行動の一つ一つの意味が見えてくるのかもしれません』
うーん…と悩んだ表情をする愛。
「確かに…そうかも。
今日の一瞬で、信長様一人とっても、誤解してたって気づいたんだもんね。
それをちゃんと知れたら、あの広間でのピリピリした感じの意味もわかるのかな…」
そこは少し難しい顔をした三成が、
『すみません。私には今朝も昔も、何時もの光景にしか見えなくて
愛様の仰る空気を察する事が出来ませんでした…
ですが、愛様が感じるものなのであれば、きっと、
愛様が納得出来なければ解決しないものなのでしょうね』
愛は三成の言葉に驚く。
「え?あんなに皆んな和やかだったのに、最近凄い怖いよ…。
秀吉さんは、前は優しいお兄ちゃんみたいって思えてたけど
最近は朝の注意事項の時も食事中も私を見て怖い顔してるし、
光秀さんは、口を開けば冷たい目で怖いことばっかり言うし、
政宗は、…いたずらとか、口付けとか平気でして、私を弄んで楽しんでるんだろうし、
家康さんは…きっと私がいない事を望んでるくらい嫌われてるんだろうし…」
全部自分が居なければ解決することだ。
そう思えてならない。
『それで愛様は皆さんと居ることを苦痛に思ったのですか?』
それもあるけど…と少し溜息を吐いてから続ける。
「私がいなければ、みんな元どおりの仲になるんだと思うから。
そりゃ、いつ何がどうなるかわからないこの時代に、
みんなが馴れ合う事なんて無いだろうけど、せめて仲間でいる間の、
戦のない時くらいは、笑顔を見せたり、穏やかに過ごして欲しいと思うから…
私のせいで、それを奪ってるのがとっても辛いの…」
そう言うと、今にも泣き出しそうな顔で、涙を堪えている愛を見て、
三成は自分の箸を置くと、そっと距離を詰めて愛の手を優しく握った。
『そんなに私達を思っていて下さってありがとうございます。
愛様のせいで、皆さんが穏やかにいれないなんてこと、
決してありません。その反対だと私は思います。』