第11章 9:ほんまるのはなし
書庫の整理は、結局日暮れまで続いた。
途中から手が空いた男士が集まって、
年末の大掃除のような有様になってしまったが、
この書庫に保管された記録の量を考えれば、
かなり早急に方がついたといえよう。
議事録。
資材表。
出陣記録。
その他諸々。
みっしりと書き込まれた、
主と刀剣の、試行錯誤の痕跡。
此処に来てから、考え抜いて、
失敗を重ねて、対話して、調整してきた、
その名残。
この書類の山を見返す度に、思い出す。
初めは主命であれば、
何でも請けようと考えていた。
主の意志が、刀剣の意志。
故に、主の願望をただこなす機構でさえあれば、
一番になれると。
……愛されると、そう考えていたことを。