第10章 「愛とはどんなものかしら」
街で耳にするラブソング。
テレビで目にする「しあわせ」のかたち。
ネットで触れる理想の未来。
それが世界で最上のものと信じていたのは、
……やっぱり、
自分でちゃんと考えていなかったから、だよなぁ。
だから、
自分の頭で考える。
幸せって何だろう。
望む未来を得ることだ。
安全な住環境。
そこそこの収入。
精神的な充足。
とりあえず、親から離れた方がよさそうだから、
ここから離れて暮らしていく算段を立てよう。
しばらく、人形のふりをした生活が続きそうだ。
愛って何だろう。
親の理想に、自由を奪われるのは嫌だった。
自分も誰かの自由を奪おうとしていたけど、
それもそれで嫌だった。
きっとこれは愛ではないだろう。
それだけは、何となしに理解できる。