第10章 「愛とはどんなものかしら」
綺麗じゃない自分が嫌だった。
綺麗じゃない周囲も嫌だった。
それは、どうして?
凹んでいたところで何も変わらない。
精神的なストレスから体調まで崩し、
便器に頭を突っ込んで吐きながら、
それでもどうにか考える。
どうして世界はこんなに厳しいのかって、
みんな私の奴隷になってないからだ。
私は皆の自由を縛れない。
どうして私はこんなことに気づけなかったかって、
そりゃ考えたことが無かったからだ。
気づかなくても死なない環境にいたんだもの。
すくすく育っていつか食われる、家畜みたいに。
どうして汚い自分に拒否反応が出てるかって、
自分はもっと普通の善人だと思い込んでいたからだ。
現実は被害者だと喚きながら、
まっすぐに加害者を目指していたけれど。
このまま何も知らないで、家族の言う
「可愛いお嫁さん」になっていたら。
想像する。そして身震いをする。
目指していたゴールが地獄の入口と気づいて、
潜る前に立ち止まれた自分に安堵する。
そこは自分を褒めていいと思った。
でも一応。
幸せには、なりたいのも事実。
そのために花嫁修業頑張ってきたんだし?
でも、幸せってなんだろう。
愛されたかったのは事実。
でも、愛ってなんだろう。
どうしてこんな、
得体の知れないものをゲットしたら、
幸せとやらに至るって、信じていたんだろう。