第7章 6:つうほうのはなし ※
「ほーんと、酷いよねコイツ」
なんでこんなの選んじゃったんだか。
親指でこちらを指して、
加州は呆れたようにため息をつく。
「そう思うなら、どうして」
「どうしてだろ。俺もよくわかんないんだよね。
でもま、世話になってるのも事実だし。
“刀剣男士”がいなくなればいいって言うのも、
納得できるような経験は少なからずしてるから」
新任ちゃんの表情が、
ますますわからない…と言いたげなものになる。
やはりというか、審神者の仕事については、
基本的なものしか知らされていないらしい。
「加州、そろそろ」
「はーい」
新任ちゃんにも「また今度」と声を掛け、
その場を後にする。
忙しいだろうけど頑張ってね。
私の挨拶に続いて励ましてくれた加州の姿を、
新任ちゃんの心配そうな視線が追いかけ続けていた。