第6章 6:つうほうのはなし
主のためにとか。そういうのどうでもいいから。
自分の幸せのために戦いなさい。
腹が立った、その理由一つだけで、
幾多の戦いを乗り越えてきた馬鹿は言う。
"あんたが折れなきゃ、私も得をするの。
折れれば取り替えれば済むけど、
そこから育てなおす手間がかかるでしょ"
"そんな理由で構わないのか"
"私は私のために戦ってる。
そのためにアンタが必要だし、
アンタが必要な間は、死ぬ気で主君やってやるわ。
だから、好きなだけ利用するといい"
お互いに自分のために利用して、お互いに幸せ。
それが一番いいじゃない。
たった十数年しか生きていない人の子にしては、
大した肝の据わり方だった。
本当に、馬鹿だった。
だから。