第6章 6:つうほうのはなし
なぜ、どうせ女だから、と思わなかったんだ。
仕方ないと、諦めなかったんだ。
政府に審神者として招かれ、
「女だから」を理由に邪魔をされた。
その姿が、
写しだからと言われ続けた自分と重なる。
だから、ぽつりと聞けば、主は鼻で笑ってみせた。
“そんなの、ムカつくからよ。
歴史改変で黙ってむざむざ殺されるのも、
性別を言い訳に大人しく足引っ張られるのもね。
私を殺そうとするなら私もぶっ殺すし、
性別を言い訳にするなら、
ねえねえ女よりできないのはどんな気持ちー?
くらい言ってやらないと気が済まないの”
だからね、と主は俺を指さす。
“アンタも、ちょっとは前を向きなさい”
本科の知識を前提とする写しと
タダの偽物の区別も付かないシロウトが何言っても、
アンタの価値なんて損なわれないんだから。
写しだからと侮る奴には、後悔させてやりなさい。
そう、本気で言い切られた。