第6章 6:つうほうのはなし
「あれっ」
演練の対戦相手を見て、主が疑問の声を上げた。
目線を追えば、その原因が分かった。
長らく戦果を競い合う仲だった本丸との対戦
…のはずが、審神者が別の人間になっている。
「引き継ぎか」
「そうみたいだねー」
高レベル帯の演練会場は、それこそ百戦錬磨の本丸が集う場所だ。
うちの本丸すらまだひよっこ扱いされるような場所は、引き継ぎたての素人にはそうとう堪えるだろう。
相手の女審神者が、雰囲気に呑まれて小さくなっているのが見て取れた。
「で、相手のオーダーには同位体がいるわけだけど、
どうする? 山姥切国広君?」
「何を言っても出すんだろう。好きにしろ」
「じゃあ好きにするねー」
手元の端末で、主が鼻歌交じりに部隊メンバーと装備を設定していく。
メンバーは相手部隊と同じ顔ぶれ。
引き継いだ審神者は知らないだろうが、
この本丸とやりあう時は大抵そうだった。
陣形の読み合い、装備の選択。
何を理由にこの部隊を組んだのか。
メンバーは同じだが、
どこから切り崩すかには本丸の差も出る。