第1章 1
「な、んで」
喘ぎ続けて掠れた喉からは、それだけ絞り出すのが精一杯だった。
刀身に着いた血を振り落とし納刀すると、得体の知れない三日月宗近は微笑む。
「主の命でな。政府から再三の通告があったと思うが」
「つうこく」
「出陣せよ、あるいは任務を遂行せよ。一月にわたり動きがない場合、該当の本丸は強制解体の措置を取る、と」
ああ、そういえば。
刀剣男士を道具扱いする政府に、審神者会議で異を唱えた時、他の審神者にそんな事を言われた気もする。
「だからって、だからってこんな…!」
殺すなんて惨すぎる。
そう叫ぼうとした時、廊下を歩く足音が聞こえた。
騒ぎで誰かが起きてきたのだ。
最後の力を振り絞って立ち上がり、部屋の戸まで走ると手を掛ける。
そして、