第5章 5
「お姉さん“は”、まともそうでよかったです」
唖然とする私にそう言って、丙午は部屋から出て行った。
三日月も、こちらにわずかに会釈すると、主人に続いて扉の向こうに消える。
まともそうでよかった。
その言葉に至るまで、彼女は何人のまともでない大人に出会ってきたのだろうか。
あるいは、彼女自身がおかしいから、普通の人がまともではなくみえていたのか?
そうしたら私は狂人扱いされたということになるが。
最後の置き土産が何故かショックで、私はしばらくその場に突っ立っていた。
今度は本丸へ監査に行って、あの審神者に会うことになる。
禁呪を使っていた場合
三日月にまったく気取らせてない手腕の持ち主ということだし、
使っていなくても、
70余りの刀剣男士を従える主のおひざ元
……正直行きたくない。
結局面談前と同じ気分に戻りながら、
私も会議室を後にした。