第76章 情慾
「大丈夫だよ、一期。本丸には鳴狐達が居るし他の皆もいるから。」
「ふふ、考えがバレてしまいましたか…」
私の頭を撫でてから、燭台切殿に向き直った主殿が続ける。
「私が不安にならないようにって、皆で考えてくれたんだよね。…なら今日から一緒に寝ようかな。早くても一ヶ月、それからどうなるか解らないけど、よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げる。
私が本丸へ来た時から、主殿は長谷部殿を見ていたし、燭台切殿や加州殿がいつも傍に居た。
だからか、不謹慎ながら、主殿と一緒に居られる時間が出来る事が、少し嬉しく感じた。
申し訳ありません、主殿…