第76章 情慾
「…そういう訳で、主ちゃんには今日から本丸に戻るまでの間、僕達と一緒に寝て欲しいと思ってるんだ。」
夕食の後、燭台切殿が作っていた焼き菓子を頬張りにこにこしていた主殿が、昼にしていた話を聞いて固まる。
「主殿?」
「えっと‥帰るまでずっと?」
「主を思っての事です。が、ご迷惑ならばまた考えます…そう言えば、先程政府と連絡をとられていた様ですが、復旧は進んでいるのですか?」
「復旧は始まってるみたい。でも、まだ完全に直るまでの期間はハッキリしてなくて、早くても一ヶ月らしいんだ。」
フォークを皿に置き、一ヶ月って長いよね、と呟く。
一ヶ月、ですか。弟達は大丈夫でしょうか?叔父上も鯰尾も骨喰も居るし、面倒見の良い厚や後藤も居るが…