第75章 花浜匙
この気持ちをきみが教えてくれたんだ、胸の真ん中が温かくなる、不思議な気持ちを。
「薄紫色は、永遠に変わらぬ心、変わらない誓い…それから、いたずら心と驚きってのもあってな!どうだ、俺みたいな花だろ?」
そう言って主を覗き込むと、手の甲で顔を拭う。
…あぁ、きみは本当に涙脆いな。
「…鶴丸が、そう思ってくれてる、って事だよね‥嬉しいなぁ…」
一緒になって馬鹿やって騒いで怒られて、笑って泣いて。そんな何気無い毎日が、きみと居る時間が、特別に感じる様になったのはいつからだったか。
本当、可笑しなもんだよな。
「これ使ってくれよ、枝折りくらいにはなるだろ?」
きゅっと手を握ると、嬉しそうに微笑む。