第75章 花浜匙
「‥ありがとう、大事にするからね。」
両手の親指できゅっと涙を拭ってやれば、いつも通り、にっと笑う。
「やっぱりきみはその方が似合うな。ずっと俺が笑わせてやるし、安心しろ?おはようからおやすみまで、何なら前みたいに、しっぽり抱いてむぅっ…‥」
俺の口を指先で押さえてぷくっと頬を膨らませる。
「私の感動を返せ!」
悪い悪い、と抱き締めて背中を撫でれば、そのまま大人しく抱かれる。あぁ‥早く本丸に帰りたいな。
何も心配せず本心から笑うきみを、また抱き締めたい。
「‥さっきの最後の、本気だからな?」
息を飲むの耳に囁く。
「それほどが好きって事さ。」