第75章 花浜匙
「スターチス!…わぁ、久し振りに見た。不思議な花だよね、植物じゃないみたいな感触。」
「知ってるのか?」
「うん、昔、隣のお家のお婆ちゃんが出荷しててね、沢山作ってたの。懐かしい…」
昔、と聞いて一瞬不味いと思ったが、その表情はとても穏やかだ。
ふぅ、良かったぜ。
桃、黄、薄紫の花束を胸に抱いて、ありがとう。と笑う。
「でも、どうして?鶴丸がお花なんて意外だった…」
「海に行って、図書館へ行ったろ?そこで一期が植物図鑑を見ててな。…あ、俺だって4コマばかり見てたわけじゃないぞ?」
スターチス‥別名、花浜匙。
そこにあった花言葉、それを見て、この花をきみに渡したいと思ったんだ。