第71章 草双紙
「主殿、どちらへ行かれるんです?」
俺も行きたい、と騒ぐ鶴丸殿を押さえる燭台切殿達に送り出されて、今に至る。
ざくざくとなる薄く積もった雪の音が心地好い。
「ここの近くに図書館があるみたいだから、そこで本を探そうと思うの。」
「本、ですか?」
「うん、粟田口の皆、本読むの好きでしょう?絵本とか、良さそうなの合ったら、本丸に帰る時に同じ物買って帰ったらいいかなって。」
こちらを振り向いて、主殿が楽しそうに笑う。
今日は昨日と違って少し調子が良い様に思える。家を出る間際、長谷部殿から、主殿の様子を良く見るようにと言われたが、この様子ならば大丈夫でしょうか…