第34章 幻の向こう
「は、長谷部は!?ねぇ、何で居ないの!?長谷部を探しに行かなきゃ!私、はせべがっ!!!」
「大将っ!」
「主ちゃん落ち着いて!」
肩を掴まれ、私の肩と腕がべったりと血で濡れた。
こんな、こんなに…血が‥
ぽたぽたと止まる事を知らないように落ちる血。歩くのもやっとなのに私は自分の事ばかり…
最低だ。
「話を、聞いてくれるよね‥?」
「…‥ごめんなさい、こんなに酷い怪我をしてるのに。‥私に掴まって。早く、手入れ部屋へ。」
先に手入れ部屋へ入った重傷の三人が、人形を保てず本来の姿へ形を変える。
「こんなのって…」
床に点々と続く赤い跡が、これが夢じゃない事を強く知らせた。