第33章 次元の狭間
足が痛い‥
腕も腹も、全身が軋んで折れてしまいそうだ。息が切れて、目が霞む。耳から頭に抜けるような耳鳴りが止まない。
どろどろの両手で頭を押さえて息を吐く。
俺はいったいどうなって…
あ…主は‥?
主‥
長谷部!そう俺を呼ぶ主の笑顔が浮かんで消えた。
あるじ‥あるじあるじあるじ!
あいたい…
あるじ‥
どれだけ走ってもどれだけ叫んでも、そこに在るのは暗闇だけだ。俺の声も足音も全てを飲み込んで行くその黒に、一気に恐怖が襲ってきた。
いやだ!
いやだ
いやだいやだいやだいやだいやだいやだ
何も無い、何も見えない。暗闇に溶けて自分さえも見えない。