第31章 甘えかた
主殿の部屋の前へ行くと、丁度中から鶴丸殿が出てきたところだった。鶴丸殿はいつも生き生きしているが、今日は随分とまた‥
「…!?鶴丸殿?」
「おお、一期じゃないか。どうだ見てくれ!主から誉の褒美にもらったんだ!驚きだろう?」
どうしてこれを選んだのか解らない。大きな眉毛の付いた鼻眼鏡を掛けた鶴丸殿が嬉しそうに笑う。
「これで短刀達をおど‥…いや、笑わせようと思ってな!ははは!」
「今驚かす、と言いませんでしたかな?…また弟達を泣かせるような事をしたら‥解っておられますよね?」
「あ?ああ、勿論だとも!おいおい、そんなに睨む事ないだろ…君、主に用だったんじゃないのかい?引き留めて悪かったな、じゃあな!」